バックオフィス業務でExcelは不可欠なツールですが、日々増えるデータ処理や複雑な集計のせいで、多くの担当者が「Excelに時間を奪われている」と感じています。
こうした課題を解決するのがRPAです。
この記事では、RPAがExcel業務を自動化できる業務例や導入の注意点を紹介します。
Excel業務が“時間を奪う”理由とは?
Excel作業が「時間を奪う」と感じる理由を4つにまとめました。
入力・転記などが多く、人間の手作業に依存する
データが複数のファイルやシステムに分散することが多く、手作業による転記や入力が常態化します。
例えば、原価管理におけるマスターデータ(M_シート)参照や、日々のデータ入力など、非生産的な定型業務に多くの時間を割かざるを得ません。
作業手順が複雑で、属人化しやすい
複雑な原価計算、例えば製造間接費の多段階配賦や完成品換算量の算出には、難解なExcel数式や煩雑な手順が不可欠です。
これらの計算ロジックが特定の担当者以外には解読不能な「ブラックボックス」となり、業務の属人化を引き起こします。
ファイル数・シート数が増え管理が困難になる
正確性を追求した「マルチシート構成」は、機能分離に有効な一方で、ファイルの巨大化を招きます。さらに複数ユーザーでの同時編集の困難さも運用上の大きな障壁となっています。
確認・チェック作業が多く、ミス防止に時間がかかる
手作業による入力や転記が必要なExcel業務において、ヒューマンエラーのリスクは不可避です。そのため、集計時のミスを防ぐための、データ検証や計算結果のチェック作業が慢性的に発生します。
RPAとは?Excel業務の自動化に向いている理由
Excel業務の非効率さを解消する手段として、RPA(Robotic Process Automation)が注目を集めています。ここでは、RPAの概念とExcel業務自動化のメリットを解説します。
RPAの基本概念
RPAとは、オフィスで人間がPC上で行っている定型的な事務作業を、ソフトウェアロボットが自動化する技術です。特に、大量のデータ処理や、繰り返し発生する定型業務の効率化に優れています。
Excel業務の自動化に向いている3つの理由
RPAがExcel業務の自動化に適しているのは、以下の理由からです。
- 繰り返し処理が得意
- ルール化しやすい
- 精度と速度が高い
毎日・毎月のデータ入力や集計といった繰り返し作業は、RPAが最も得意とする領域です。人間による手作業と比較し、圧倒的な高速性と高い精度で処理を完了させます。
RPAツールがExcelと連携できる仕組み
RPAは、人間が行う画面上の操作を再現するのに加え、Excelを異なるシステム間のデータ連携のハブとして利用します。
あるシステムからデータを取得してExcelに書き込み、関数やマクロでデータを加工させた後、結果を読み取って別のシステムへ転記・登録までを自動化します。
RPAで自動化できるExcel業務の例
RPAで自動化できる主なExcel業務を4つ紹介します。
①データ入力・転記作業の自動化
WebやPDFなど、異なるデータソースからの情報をExcelシートに自動で入力・転記します。手動でのコピペ作業を排除し、入力ミスを大幅に削減できます。
定型的なデータを大量に扱う業務において、作業の品質とスピードの向上が可能です。
②請求書・見積書などの帳票作成
基幹システムから必要なデータを抽出し、Excelのテンプレートへ流し込んで請求書や見積書を自動作成します。
毎月大量に発生する発行業務において、発行漏れや誤記のリスクを排除できます。迅速かつ正確な帳票作成が可能です。
③Excelデータとメール送信の連携処理
データの集計完了後、RPAがExcelデータを自動でメールに添付し、部門別や担当者別に振り分けて配信します。
集計からレポート共有までの一連のプロセスを完全に自動化できます。
④複数ファイルの統合・仕分けといった大量処理
数十、数百に及ぶExcelファイルの統合や、内容に基づくフォルダへの仕分けを効率化します。手作業によるファイルの開閉や移動作業が不要になるため、業務時間を大幅に短縮できます。
RPA導入の注意点
RPAツールを導入し、最大限の効果を得るためには、いくつかの注意点があります。
業務手順が曖昧なままとりあえず導入はNG
RPAは、手順が明確な定型業務の自動化に適しています。反面、手順が曖昧なまま導入すると、効果が得られません。
まずは現在の作業を棚卸しして、標準化しましょう。
例外処理が多い業務は自動化との相性が悪い
常にルールが変わる作業や、突発的な例外処理が多い業務は、RPAによる自動化と相性がよくありません。原価管理の集計のように、ルールが一貫しており、例外が少ない定型業務から導入を進めましょう。
運用・管理の仕組みをしっかりと作る
RPA導入後も、マスターデータの変更や、システムの更新などの手順修正が生じます。誰がロボットを管理し保守するのか、責任体制を明確にし、長期運用の仕組みを作りましょう。
小さく検証しながら導入を進める必要がある
システム全体を一気に開発するのではなく、まずは月次集計などの小さな範囲で自動化を検証しましょう。効果が確認できたら、段階的に導入範囲を広げていくのがおすすめです。
RPA導入で“社員の働き方”がどう変わる?
RPA導入による業務の自動化により変化する社員の働き方を3つ紹介します。
毎日の定型作業が減り、時間の使い方が変わる
データ入力、転記、複雑な数式計算など、時間のかかる定型業務から完全に解放されます。その結果、社員はより戦略的かつクリエイティブな業務に集中できるようになるでしょう。さらに、残業時間の劇的な削減とワークライフバランスの向上にもつながります。
ミス削減により業務品質が向上する
手作業に起因するヒューマンエラーが大幅に削減され、経営管理データの信頼性が飛躍的に向上します。手戻り作業や検証にかかっていた時間も不要となり、業務フロー全体が安定します。
作業から“分析・判断”へと業務の価値がシフトする
自動化で創出された時間は、分析や戦略といった、より付加価値の高い業務へあてられます。単なる「作業者」としての役割が減り、ビジネス価値を生み出す役割へと業務内容や人材価値が高まります。
まとめ
RPAによる自動化は、単なる作業の効率化に留まりません。社員の時間を創出し、経営の根幹を担う「分析と判断」へのシフトを可能にします。これは、組織全体の付加価値を最大化するための、戦略的な鍵となります。
またRPAとの連携も可能なxoBlosは、既存のExcel資産をそのまま活用でき、複雑な参照や計算ロジック、集計作業をノーコードで自動化できる強力なツールです。
RPA導入を機にDX化を進めたいという企業様は、ぜひxoBlosも併せてご検討ください。








